Title: 研究データ公開と研究データ管理に関する実態調査2022:⽇本におけるオープンサイエンスの現状
Abstract: 文部科学省科学技術・学術政策研究所(NISTEP)は2022年10月から11月にかけて日本の研究者を対象としたオンライン調査を実施し、1,159名の回答を分析した。主な結果は以下の通りである。
- 公開データの入手経験は71.0%が有しており、主な入手先は論文の補足資料、学術機関のリポジトリであった。うち、62.9%は「データごとにフォーマットが異なる」、「利用条件がよくわからない」といった問題があると認識していた。
- データマネジメントプラン(DMP)の作成経験は28.6%が有しており、主なDMPは科学技術振興機構(JST)や所属機関のものであった。
- 研究データの公開経験は50.1%が有しており、主な公開先は論文の補足資料や学術機関のリポジトリであった。主な未公開理由は、論文を投稿した雑誌のポリシーではないから、公開できない情報が含まれるから、業績にならないからであり、これらの理由が解消された場合に公開意思をもつ回答者は26.3%であった。
- 公開データのインセンティブとして、データに紐づく論文やデータそのものが重視されていることがわかった。データの整備や公開のための人材、時間、資金が不足しているとの認識が強く、データ公開の懸念として、引用せずに利用される可能性や二次利用に責任が生じる可能性、不正利用・改ざんの可能性への懸念が強かった。
- 研究データの整備・公開・保存を図書館員やデータキュレーターに依頼したいと考える回答者は48.4%であり、主に依頼したい内容は、適切なデータ形式への変換、適切なリポジトリの選択、適切なライセンスの選択であった。
- 他の研究者によるデータ公開を評価している回答者は80.5%であった一方で、所属機関がデータ公開を業績として評価していると認識していた回答者は15.8%に留まった。