Title: 論文のオープンアクセスとプレプリントの 公開及び入手状況と認識-State of Open Science in Japan 2022の調査結果から得られた示唆-
Abstract: 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)は、日本の研究者による論文とプレプリント(PP)の入手や公開の状況を明らかにするために、2022年7月から8月にかけてオンライン調査を実施した。科学技術専門家ネットワークに所属する研究者から得た1,104名の回答を分析した結果、必要な論文を十分に入手できている研究者は42.0%であり、論文のオープンアクセス(OA)経験は83.3%が有していた(2020年の調査から3.2ポイント増加)。PPの入手経験は67.3%(+15.2ポイント)、公開経験は29.5%(+9.1ポイント)といずれも増加していた。OAの主な障壁は資金であり、若年層や公的機関・団体、大学の研究者は不足感が強かった。論文をOAとしていない理由が解消された場合、66.7%がOAにしても良いと考えていることもわかった。PPの主な未公開理由は「公開する必要性を感じない」や「最初に査読誌に投稿したいから」であり、未公開理由が解消されたとしても公開意思をもつ回答者は28.3%にとどまった。分野別では、2020年から継続して数学、物理学・天文学、計算機科学分野においてPP利用や公開が盛んであり、arXivがよく使われていたほか、心理学の利用率や医学の公開率が増加していた。